書籍「革命のファンファーレ」でこれからのマーケティングを考えてみる
どうも、最近からKindleで読書欲がモリモリと高まっているモリザワです。
今年から仕事やプライベートの視野を広げるため書籍からのインプットを多くしようと毎日スキマ時間で読書をしています。
「革命のファンファーレ」を読んで現代の価値観に合ったマーケティングが書かれていたので、紹介したい。
絵本「えんとつ町のプペル」をヒットさせた裏側
書籍「革命のファンファーレ」の副題に「現代のお金と広告」とあるようにマーケティング論について書かれているビジネス書である。
当初は芸人の西野 亮廣氏が書いたビジネス書なんて全く興味・関心が無かったが、ある時、ニュースで西野氏の芸人ではないビジネスマンとしての側面を写した特番を見たことがきっかけで「革命のファンファーレ」を購入して読んでみることになった。
西野氏がビジネス書以外にも絵本作家でもある。手がけた絵本の「えんとつ町のプペル」が5000部売れればヒットと言われる絵本業界の中で国内32万部を売り上げている。
「革命のファンファーレ」で一番興味深かった絵本「えんとつ町のプペル」の作り方・売り方を紹介し、今後のマーケティングを考察してみる。
作り方を疑うという作業から始める。
「絵本を分業制で作る」なんて誰でも思いつく。世の中のほとんどのものが分業制で作られているのだから「絵本だって……」という考えが出てくる方が自然だ。突飛なアイデアでも何でもない。
ところが、事実として、超分業制で作られている絵本は世の中に存在しない。
問題は、「これまでたくさん思いつかれたであろう『分業制で絵本を作る』というアイデアが、何故、形になっていないのか?」という点だ。
ほとんどの絵本が絵と文を一人で作ることが当たり前になっているという。そこには絵本業界の特性上、一人で作ること以外に選択肢がないということを突き止めている。
なぜならば、絵本市場が小さいのでたくさんの人を囲ってまで絵本を作るための費用が用意できないとのことである。
自分自身、普段仕事で、なぜこの方法を用いないのだろう?なぜこのシンプルで誰でも考えつきそうなことをやっていないのだろうというケースに出くわすことがある。しかし、作業時間がない場合にその「なぜ」を突き止めようとしていないことが多々あるなと思い返す。常に「なぜ」という疑問に対して原因分析をしていく思考力を身につけることが大切と感じた。
現代のお金の生み方
『えんとつ町のプペル』のクラウドファンディングは、やたらと感謝された独演会の1ヶ月後に実施した。
厳密に言うと、独演会の1ヶ月後にクラウドファンディングを実施することが決まった後に、独演会のチケットの値段を決めた。
負担を背負った独演会の1ヶ月後に実施したクラウドファンディングでは、独演会に足を運んでくれた方が、たくさん支援してくださった。
絵本を分業制にすることで、絵本の作成に参加してもらうクリエイターの方に費用を払う必要があるので、西野氏がまず絵本を作る前に制作費を集める必要があった。そこでクラウドファンディングによって資金調達をすることにした。
クラウドファンディングするにあたり、まず信用を作っておく必要がある。
自身の独演会を赤字が出る値段で販売したことで、感謝が生まれる。
西野氏の作る絵本にきっとおもしろいだろうという信用によりクラウドファンディングにたくさんの参加者が募る。
さらに参加者が国内の最高記録が世間的なニュースとなって、認知が広まりより参加者が集まることになった。
結果「えんとつ町のプペル」の制作資金の調達に成功してしまった。
独演会の格安にしたことでその後にクラウドファンディングでは参加者を集めた手法は心理学でいうところの「返報性の原理」にあたり、受けた恩に対してお返しをしなければならないという感情を巧みに使っている典型的な実例である。
これは結果論であると思うが、クラウドファンディングの参加者数を国内最高になったことで、更に認知度を強めている二重の仕掛けになっていることに感嘆してしまう。
無料という広告戦略
感情に任せて無料公開などするわけがない。
計算した結果、「無料公開した方が、売り上げが伸びる」「無料公開した方が、出版業界が盛り上がる」という答えが出たので無料公開に踏み切った。
そして事実、無料公開によって売り上げが伸び、その瞬間を国民が目撃した。
無料公開した『えんとつ町のプペル』のヒットの構造を業界全体が共有した。
無料公開時代の幕開けだ。
絵本をネットで全文公開するというニュースは、西野氏や「えんとつ町のプペル」に全く興味がなかった時でさえネットニュースで目にしていた。詳細な内容まで確認してなかったので、大半は批判のコメントがほとんどだったと記憶をしている。
「革命のファンファーレ」を読んで初めて全文無料公開をした経緯や売上の結果を知ることになった。
そもそも絵本のターゲットは子どもに読み聞かせをしたいと思っている母親がメインであり、動機は子どもに読み聞かせをしたいので、絵本の内容を知っているものではないとお金を出したくないという絵本の特性を理解していたから、思い切って無料公開を決断できたと述べている。
絵本を購入する人の動きを徹底して考えられていることに驚いた。
たとえ、無料公開することのメリットが頭の中で感じたとしても普通の絵本作家であれば、全文無料公開というアクションはできなかったと思う。
そこには、芸人、絵本作家とう肩書きを複数個掛け持ち、収入源を複数個確保している西野氏だからこそ大胆な行動に出れたのだろう。
他人の時間を使ったマーケティング戦略
大切なのはニュースを出すことではなくて、ニュースになることだ。
「ニュースになる」ということは、他人の時間を使えているということだ。
「他人の時間を使えている」ということは、ニュースになっている時間が延びているということだ。
「えんとつ町のプペル」を広告するために様々な仕掛けを行っている。
絵本の著作権を放棄することで、さまざまな自治体が勝手に「えんとつ町のプペル」の演劇やラッピング列車にして「えんとつ町のプペル」の宣伝をしてくれる。
または、「えんとつ町のプペル」を個人で1万冊買ったことで手に入る1万冊分(2435万1138円)の領収証が各局のワイドショーで取り上げた。
絵本のページをインスタグラムにアップしてもらえるように絵本を正方形にして、読者にも宣伝しえもらうようにした。
他人の時間を使って自身の宣伝をしてもらうマーケティング戦略は色々な形を変えて今後広く使っていくようになるだろう。
まとめ.勝負の決め手は体験の数
「革命のファンファーレ」を読んで早速、「えんとつ町のプペル」の無料公開されたサイトとYouTubeの読み聞かせを聞いた後、息子に読み聞かせをさせたいと思い絵本を買ってしまった。
まんまと西野氏の広告戦略の購買行動フローに乗っかってしまったということだ。
実際購買体験をしてみるとよく分かるのだが、それぞれの広告の伏線を辿ってきているのであまり悩まず「えんとつ町のプペル」を買っていることに気がつく。
なにも伏線が無いところから「えんとつ町のプペル」を買っていたかと考えると絵本の値段がフックになって購入することをためらったかも知れない。ほんと上手くできた広告戦略だなと感心する。
この上手くできた広告戦略は一つ、二つの仕掛けでなく何重もの仕掛けによって出来上がっていることを本書で述べられているが、本書に書かれていない仕掛けもまだまだあるだろう。
今は、インターネットという武器を使って誰でも情報取得・情報発信ができる時代である。使える武器は広告のプロと同じだ。ネットを使ってと思うと華麗に美しく売るための戦略をしていると思うが実際は、頭のも身体にも汗をかいてドロくさく地べたを這いつくばっている。
勝負の決め手は体験の数と述べられているところがすべてだと思う。
個人でも企業でもまずはネットを活用して行動してみる。
西野氏はこう問いている。
キミはまもなくこの本を読み終える 。
さあ、何をする。
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