コピーライターからWebデザイナーが学ぶべきこと
どうも、最近コピーライターに興味があって書店で片っ端から立ち読みしているコピザワです。
その中で、書籍「ここらで広告コピーの本当の話をします。」を読んでコピーライターの思考がとても参考になる部分が多々あった(ちゃんと購入したよ)。自身がWebデザイナーとしての学びがあったので紹介してみたいと思います。
コピーライターとWebデザイナーの関係
ここで述べるコピーライターとは、広告に入れるコピーを書く人のこと。
本書では、広告コピーを「商品をいじらずに、言葉を使って商品の価値を上げる人」と定義しています。
商品自体をお客に売るためにレターやチラシを書く文言を「セールスコピーライティング」というものがあるが、今回の広告コピーとは似て非なる。
コピーライターという職業をよく分かっていなかった当時、「ん?コピーライター? 糸井重里でしょ?」というイメージだけで、なんかカッコ良い言葉を書けばいいんじゃないの程度でした。
みなさんは、コピーライターやクリエイティブディレクターの仕事を、企業や商品の内容を”伝える”ことと思っていたかもしれません。実はそんな単純なことではないんです。”価値が上がるように伝える”のが仕事なのです。
”価値が上がる”ことをやるから、それに応じた報酬がいただけるのです。
コピーライターって単に言葉を書くことではなくて、商品開発から入ったり、ブランドコンセプトを作ったり、広告全体のディレクションまでやっている位、幅広い領域で活躍している。
ここでいうコピーライターは、価値を上げるために、ビジネス視点でマーケティングの思考を身につけている。
Webデザイナーは、デザインでネットを媒体に企業や商品の内容を”価値が上がるように伝える”ことがミッションだと思っている。そこから商品を買ってもらったり、申し込んでもらうことがゴールです。
コピーライターと比べるとアウトプットが言葉かデザインの違いであるが、そのアウトプットまでの過程が非常に為になったので、書籍「ここらで広告コピーの本当の話をします。」から参考になった部分を紹介してみたい。
もちろんWebデザイナーでなくても、どんな職種でも関係するものがあると思います。
商品を知らないとコピーは書けない
コピーを書く時の大事なこと。
まず、そのうちの一つ。
”商品”の広告コピーは成立するが、”カテゴリー”の広告コピーは成立しない
<中略>
”カテゴリー”でコピーを書いてしまうと、見た目「それっぽい」だけの中身のないものにしかなりません。広告コピーとしは成立しないのです。
グラスに入っている飲み水に広告コピーをつける場合、この水はどんな水なのか?どの企業が販売している水なのか?そういった商品の具体的な情報、競合商品との違いがわからない状態では広告コピーは書けないと著者は言う。
水の情報を知らずに書くことは、水という”カテゴリー”に広告コピーを書いてしまっていることであり、「水は◯◯である」といったコピーを見てこの商品を買う人はいません。
これってWeb制作でも同じことが言えるなと思う。
シンプルなWebサイトであれば、あるほど、その企業や商品・サービスのロゴだけをそのまま差し換えれば出来上がり!!ってなWebサイトを見かけるし、過去にはつくったりもしました。
これは同じ業種のサイトのWebデザインを持ってきているだけで、結局デザインから企業や商品・サービスのイメージが全く伝わらないんですよね。
下準備に9割かける
コピー作業の中で、机に向かってペンを走らせる(あるいはPCに向かってキーボードを叩く)作業は全体の1割ぐらいと思ってください。その手前の「マーケティング的」作業、つまり「考える」が9割です。競合を調べ、商品のUSPを見極め、ターゲットを決め、彼らの欲求や不満、不安に思いをはせる。こういったことが「コピーを書く」ということの本質なんです。もし時間が1週間あるのなら、そういった作業に6日を費やしましょう。実際に文字として書くのは最後の1日でかまいません。
コピーライティングって、もう商品を見ただけで、直感的にパッとひらめく言葉を書き出しているのかな思ってしまう人もいるだろうが、実際はコピーを書く準備に時間をかけていることがわかる。
マーケティングの概念がわかっていなければ、”カテゴリー”の広告コピーを書いてしまうことになり、正しい広告が作れないということ。
つまり、目に見えるアウトプットを支えるのはマーケティング的思考が必要ということです。
コピーライターと同じようにWebデザイナーも手を動かしてデザインする時間よりも「マーケティング的」作業に時間をかけることが理想であり、1日でWebサイトのトップや下層ページデザインすることは物理的に難しいけど、少なくともマーケティング戦略を考えたデザインをすることは必須だろう。
「書く能力」より「聴く能力」
コピーライターが最も養わないといけない能力とは、「聴く能力」です。
「書く能力」ではありません。「聴く」とはオリエンや打合せに出て表面的な話だけメモを取ることではなく、発注主やCD、チームの課題、悩み、欲求、コール目標などの「真意を理解する」ということです。
たとえ小さなUPSであっても、商品の開発者はそこに人生を賭けていたりするものです。
どうしても、制作者はアウトプット質だけを見てつくっている内に自分のエゴが入ってしまいクライアント、消費者の事を忘れがちになってしまいます。
キチンと相手の真意を知り、常に意識して制作していきたいなと思う。
クライアントの御用聞きになるのではなく、クライアントの要望以上を出すのが一流と述べられています。そこには発注者がいったん出した基本的な方向性、そこからぶれることなく、それより力強いアイデアを出すことが大事。
このコトってわかっちゃいるけど、、、出来てないですよね。ふんどしを締め直す気持ちでやっていきたいですね。
企業の未来を決定づける言葉のパワー
言葉というものの役割は、大きく2つあります。
1つはコミュニケーション。もう1つは思考の補助です。
たとえば人以外の動物は「夢」を考えることができません。言葉がないからです。言葉があれば、目の前の具体だけでなく、言葉のメタファー(隠喩)を利用することで存在しない抽象をも考えることができます。僕らは「夢」というものをふわふわ漂う何かに喩えながら、「夢を追いかける」「夢をつかむ」といった言葉で思考します。逆の言い方をすれば、人は言葉を超える思考ができません。思考は言葉に縛られますが、自由に言葉を使いこなせれば、思考は広がり、人の行動も変えていきます。
つまり、言葉が人の行動を決めるのです。
「未来」を考えることができるのも、言葉を持った人間だけです。だからこそコピーという言葉には、企業の未来を決定づけるパワーがあります。
Webデザイナーとして、ここまで言葉の重要さや言葉の持つ力を想像したことも無かった。デザイナーとして言葉を視覚的にデザインに落としこむことしか考えていなかった。
しかし、自由に言葉を使いこむことが出来れば、デザインの質も影響してくることは間違いない。
著者小霜氏が自身の業種に信念を持って、希望を語れるって素敵ですよね。
まとめ.コピーライター思考を持つこと
「ここらで広告コピーの本当の話をします。」に沢山学ぶべき点や気付くことが多すぎて、3回くらい読み返した。
今回は、Webデザイナーの立場として覚えておきたいことをまとめてみましたが、読む人の職種によって良いと思うところがそれぞれ違ってくるんじゃないでしょうか。
本書の対象は、若手コピーライターに向けて書かれているがクリエイティブ系の人たち全員に対象となるものだと思います。
若手コピーライターは、毎日数百本のコピーを書いていくそうですが、コピーライターに憧れたとしても、とても書ける自信もない(笑)
しかし、コピーライターの視点や思考を学んでいくことは非常に重要だと思っている。
どんな職種でも、必ず依頼するクライアントが存在するから。そこで、クライアントの話を聞いて「真意を理解する」しなくてはいけないことの重要度は変わらない。
コピーライター思考を身に付けるために、他にもコピーライターさんたちが書いた書籍を読み漁ってみよう。
小霜氏がなんと無料で広告学校を開いているみたいですね!今期は全て始まっているので、来年応募してみようかな。応募が多数なので選考みたい。(倍率高そー)