進化し続ける建築家 安藤忠雄の建築展「安藤忠雄展-挑戦-」に行ってきた

どうも、大学で建築学科を履修していたケンチクザワです。
国立新美術館で開催されている「安藤忠雄展-挑戦-」に行ってきました。
建築家 安藤忠雄氏の挑戦し、進化し続けている姿が展示会随所に盛り込んだ内容になっていたので、紹介しましょう。

安藤忠雄ってどんな人?

Web業界に入る前から建築家 安藤忠雄氏の書籍を買い漁り読み込んでいたほど安藤氏のファンである。なので、ざっくり安藤氏のことを紹介してみよう。

1941年大阪生まれ。独学で建築を学び、1969年安藤忠雄建築研究所設立。代表作に「光の教会」「ピューリッツァー美術館」「地中美術館」など。1979年「住吉の長屋」で日本建築学会賞、1993年日本芸術院賞、1995年プリツカー賞、2003年文化功労者、2005年国際建築家連合(UIA) ゴールドメダル、2010年ジョン・F・ケネディーセンター芸術金賞、後藤新平賞、文化勲章、2013年フランス芸術文化勲章(コマンドゥール)、2015年イタリア共和国功労勲章グランデ・ウフィチャ―レ章、2016年イサム・ノグチ賞など受賞多数。1991年ニューヨーク近代美術館、1993年パリのポンピドー・センターにて個展開催。イェール、コロンビア、ハーバード大学の客員教授歴任。1997年から東京大学教授、現在、名誉教授。

安藤忠雄展-挑戦- 国立新美術館開館10周年|安藤忠雄プロフィール

大学にも行かず、建築事務所の弟子にすらならず建築を独学で学んで建築家になり、「建築界のノーベル賞」と言われるプリツカー賞を受賞した異端の建築家である。

高学歴を要する建築業界の中で独学で世界に上り詰めたというのは日本人好みのストーリーなので安藤忠雄氏のファンは多い。
自分もデザインのバックボーンが無いままWebデザイナーに挑戦してみた頃、安藤氏の道を切り開いていく生き方に強く感銘を受けていたので、再度、建築作品や生き方を再度確認して刺激を受けたいという思いから展示会に行ってきた。

安藤忠雄展に行ってきた

安藤忠雄展では1969年より建築設計活動を開始してから今日までの建築作品の模型やスケッチ、ドローイングなど、総計200点余りの設計資料を展示されている

何度か安藤忠雄の建築展には行ったことがあるが、いままで一番大きい展示場と展示数は初めてだった。展示の構成を「原点/住まい」「光」「余白の空間」「場所を読む」「あるものを生かしてないものをつくる」「育てる」の6セクションに分かれていた。
今回は、セクションごとに所感を述べてみたい。

セクション1.「原点/住まい」について

安藤氏は独学の方法のひとつとして海外の建築を見て回っていた。それは24歳の時、日本で一般の海外渡航が自由化され渡欧をした。当時1ドルが360円でインテリアデザインの仕事で蓄えたすべてのお金をつぎ込んで学びの旅行に出かける。お金を貯めて海外への旅行に出かけるという生活を4年間続けたそうだ。

展示会では、海外旅行したルートとその中で世界の建築物を目でみたスケッチされたものをみることができた。安藤氏に関する本を読んでも安藤氏がスケッチを見ることがなかったためそれだけで行った価値があったなと思った。

海外旅行が開始された当初、安全性などまったく保障されていない中で出かける勇気はどの程度のものなのか?本当に建築を学びたいという情熱はいかほどだったのか?と旅行の軌跡を見て強く感じた。
人が成長するためには行動すること、行動のみでしか人は本当の成長は無いんだなと思い知らされた。

セクション2.「光」について

ここでは光の教会を野外の展示場に1/1のスケールで全く同じものを再現してしまったことがこの展示会の醍醐味であるだろう。
一つの建築物をまるまる同じようなものをつくったことはスゴイが許可した国立新美術館もスゴイですね。

安藤氏はセクションの解説文に記憶として人々の心の中で永遠に生き続ける建築を作りたいと書いてあった。

その理想に近づくべく、私が試みるのが徹底してモノを削ぎ落とした無地のキャンヴァスのような建築です。そこに光や風といった自然の断片が引き込まれるときに生まれる空気、その生命力に、人間の魂に訴える力を期待するのです。

自分が考える安藤氏の建築の良さは光や風、緑といった自然を人工的なコンクリートに取り込み調和させる感覚が抜群に秀でてると思う。

そう考えると光の教会はその土地にあって良さが分かるもので美術館の作っても本当の良さって分からないんじゃないかなと思ったりもした。個人的な意見ですが。

セクション3.「余白の空間」について

安藤氏はについて、明確な機能を持たない余白のスペースをつくりだし、それを人が集まるきっかけにしたいということで商業建築には余白の空間を設けているとのことでした。

自分が安藤建築で行ってみた中で一番好きなのは、表参道ヒルズである。
たしかに表参道ヒルズでは、吹抜け大階段がありイベントができるスペースも備えている。一般的に考えて吹抜け大階段あってもなくても表参道ヒルズの利便性に変化は無いように感じるがこれは意図的に余白を作り出し人が自然と集まり立ち止まるようにしていると考えると合点がいく。

たしかに無駄にここの大きい階段を使いたくなってしまう。また階段の下から上を見上げると表参道ヒルズの形の美しさを味わうことが出来るんですよね。

セクション4.「場所を読む」について

建築をつくる時のスタートは必ず、「場所を読む」ことから始めるとのこと。
それは、それぞれの場所に必ずそこにしかない個性があるので、個性を読み取り建築を作り上げていく。そうすることで「その場所にしかできない建築」になっていくとセクションの解説文では述べられていた。

その中で直島の一連のプロジェクトをインスタレーションとして展示していました。

香川県直島町の島全体と7つの建築の模型があり一つ一つの位置関係がわかり、直島に行ったことがないが、行った気になった。直島に行けば一気に7つの安藤建築を見ることが出来るので来年あたりいってみたいと思う。

セクション5.「あるものを生かしてないものをつくる」について

古い建築を再生するプロジェクトに対して安藤氏は「再生」とは古いものを残すことでもなく、それに新たなものとして塗り替えることでもない、新旧の絶妙なバランスで共存する状態をつくりだすこと。あるもの(建築の刻まれた記憶)を生かして、ないもの(未来へとつながる新たな可能性)をつくるという挑戦しているとのこと。

ここの中では最近作が展示されていた。新華紅星国際広場、元祖夢世界などいった中国からのプロジェクトも進行していることには驚いた。
この展示会でも中国の建築物が複数展示されていた。どうやって中国とビジネスの進め方をしているのか?施工は中国の建築事務所が行うのか?技術力はどうなのか?という思いにかられた。
特に中国のプロジェクトは博物館や劇場など大きい建築物なので施工の技術がしっかりしていないととても成り立ちえないのではと思った。

セクション6.「育てる」について

植物も建築もメンテナンスをしていかないとダメになる。大切に見守っていかないと育たない。
建築とは、作り手の挑戦であると同時に、それを使い育てていく皆さんの挑戦であると解説文で述べられていた。

5分程度のドキュメンタリーが上映していた中で「ひょうごグリーンネットワーク」「瀬戸内オリーブ基金」「桜の会・平成の通り抜け」「海の森」といった植樹活動について紹介されていた。
これは、一般に寄付を募り、それを原資として少しずつ木を植えて、森に育てていくものである。

建築家なのに建築以外のことにも手を広げている。ある意味、自然をつくることは建築をつくることの延長なのかもしれない
たくさんの著名人を巻き込んでプロジェクトを動かすには新年と情熱があってこそなんだろう。

まとめ.展示会で学べること

一通りざっと回って2時間くらいだった。人が多くて展示物の解説文を読むのに並んだので時間がかかったと思う。
休日だったので人が多かったと思うので、平日にゆっくり見るのが良いだろう。
あと、長時間展示会を見るので大きめの荷物を持っていたら国立新美術館のロッカーに入れてから見るといいだろう

安藤氏は家庭の経済的な理由や自分の学力で建築を独学で学ばないといけない中、世界のトップになり、今でも最前線で走っている姿はWeb業界で働いている自分でも学ぶことが大いにある。

自身の生活がかかっているというギリギリの中の挑戦が建築家となり、建築家となった今でも挑戦し続けている。

Web業界は技術やデザインのトレンドの移り変わりのスピードが早い。技術やデザイン以外でもマーケティングなどの知識も必要とする。
移り変わりのスピードが早い中で、Web業界に居続けるのは大変なことである。
しかし、常に前向きで挑戦していくことが走り続けられることができるのだろうと安藤忠雄展に行って学ぶことができた

安藤氏の交友関係は元サントリー会長の佐治敬三氏やベネッセの顧問 福武總一郎氏の日本を代表する企業のトップやU2のボノやジョルジオ・アルマーニの海外のセレブと多岐に渡る。
業界は違っていても安藤氏のことを慕っているのは、人間的な魅力があるのだろう。

建築家 安藤忠雄氏の魅力がたっぷり詰まった展示会なので、建築に関心がなくても安藤忠雄氏の人柄を知るのも楽しみの一つでオススメです。

参考文献.安藤忠雄をよく知る

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